悪性リンパ腫の経験値をアウトプットする

※以下の内容は個人的な見解であり、医学的見地に基づくものではありません。また、医師等の他者からのコメントについても、私が記憶しているものであり、その正確さについては保証しません。

概要

2015年、濾胞性リンパ腫(悪性リンパ腫のひとつ)が判明、それ以降、経過観察や治療の日々です。この病気は完治は難しいと医師から言われていて、通院治療、時には入院しての治療生活を続けてます。ここまで数年でだいぶ経験値を蓄積してきたので、情報まとめてみました。

濾胞性リンパ腫についてはこのあたりが詳しいです。
https://ganjoho.jp/public/cancer/follicular_lymphoma/index.html

病気になった理由

この記事を書いている2019年11月時点で、この病気の原因はわからないようです。まぁすでに発症してるんで、いまさら原因わかったところで遅いんですがw

医師からは、原因ではありませんが、不摂生とか不規則な生活とかは控えたほうが良いと言われました。当たり前ですねw

ちなみに悪性リンパ腫罹患率は、30代後半から40代前半では10万人あたり数人です。60代以上になるとぐっと上がりますが、それでも10万人あたり50人くらい。まぁ病気なんてそんなものだと思います。

いつから

2015年秋の健康診断で「膵臓が・・・」という診断を受けて、精密検査を受診するよう紹介状をもらったので、家から近い大学病院に行って、ありとあらゆる検査を受けました。胃カメラとか、大腸内視鏡検査とか、CTとか。健康診断では膵臓ということだっんですが、実際には、腹部のリンパ節に腫瘍がありました。この時点ではサイズも小さかったので経過観察となりました。つまり、放っておいてどうなるか見ようね、ってことです。

ここで興味深かったのは、リンパ腫にも複数あって、腫瘍を取り出して検査しないと具体的な病状がわからないということです。経過観察をしていく中で少しずつ大きくなってきたので、2017年春に開腹手術で腫瘍の一部を切除しました。2-3センチくらいの腫瘍を取り出して(残念ながら実物見てない)、病理組織診断した結果、病気がわかった、という流れです。

開腹手術の術後はというと、マジ痛かったです。くしゃみするとマジで患部が激痛でした。あとは笑うだけでも痛かった。あの痛みは一生忘れられないですね・・・。なんだかんだで、1-2ヶ月くらい痛みは続いたと思います。 あれ以来、入院や手術が超絶トラウマになってます。

昨今、血液検査で病気を見つける、みたいなニュースがたまにありますが、結局の所、現時点では、医師が画像なんかを実際に見た上で、経験則に基づいて判断しているので、テクノロジーに期待しつつも、従来の検査を受けてみることをオススメします。

病気の症状、痛みとか

これが一番不思議でして、体の中に腫瘍があって、病気なんですが、まったく痛みは無いです。日常生活にも特に支障はない。なので、自分が病気だという実感が全く湧いてこない。病院に行っていろんな治療を受けてようやく「あー、オレ病気だなw」って多少実感するレベル、治療も痛みを伴うことはほとんどないので、治療をしても実感が薄いくらいです。まぁ痛みがないというのはありがたいことかもしれません。

痛みではありませんが、治療の副作用があります。これまで複数の治療をしているので、薬の種類によって副作用は異なりますが、過去に経験したものを後述します。

どんな治療をするのか

リンパ腫は、リンパ球ががん化する病気なので、主要な治療法は3種類

で、よく使われる治療は化学療法、いわゆる抗がん剤です。

病気になるまで知らなかったのですが、抗がん剤には多くの種類があります。医学は日進月歩で進化しており、私が病気になって以降のほんの数年間ですら、新しい治療法や薬が話題になるくらいです。ありがたい限りです。

治療による効果

私の病気は完治は難しいと言われているので、治療の効果としては、単純に、腫瘍が小さくなった、です。つまり、治療する → 良くなった → 時間が経つ → また悪くなってきた → また治療する、をエンドレスに繰り返す感じです。

現時点では、病気とは一生付き合っていくことになりそうです。あとは医学の進歩に期待です。(他力本願w)

抗がん剤の副作用

しびれ

特に指先のしびれがそれなりにつらいです。

日常生活では、コップやお皿がうまくつかめずに落として割るとか(副作用じゃなくて老いだったりしてw)、本を読んでページが上手くめくれないとか。

仕事では、ノートPCが手放せないのですが、資料作成やメールなどでキーボードを叩く際に、指先の感覚が違うので、typo率が上がります。(実力かw)

倦怠感

これも地味につらい。朝起きて「体が重い、起きれない」とか、仕事中に「ヤバい疲れた、体がだるい」みたいな感情が覆いかぶさってきます。とはいえ、過去の経験上、数日から1週間くらいでおさまるので、その期間は自分にムチを打ってがんばるか、諦めてサボるしかありません。

つらい副作用ではあるのですが、一方で、精神疾患の人はこういう感覚なんだと思っていて(実際わかりませんが)、これは経験できて良かったと思います。 私の場合、副作用は時間の経過とともにおさまるわけですが、この感情が長期間続くかと思うと結構しんどいなと。これを機に、今まで以上に他人を思いやることができるようになったと感じています。

頭痛

多少ありますが、基本的には我慢できるレベルです。

発熱

突発的に出たりします。これは運だな、と思っています。

吐き気

多少ありますが、基本的には我慢できるレベルです。

食欲

吐き気があって食欲が落ちる瞬間もあるものの、逆に、劇的に食欲が増す瞬間があります。突然やってきて、数日くらいで消えていきます。通常の倍くらい食べてしまいます。

脱毛

薬によって抜けやすいものがあります。がんというのは頻繁に細胞分裂をするもので、抗がん剤はその細胞分裂を狙う薬なので、毛が生えるというのは細胞分裂が活発な部位だから抜けるのだそうです。実際、頭髪の密度が減ったと思うときもあり、日々気にするのが面倒なので、坊主にしたりします。

ちなみに、陰毛も頭髪と同レベルで減った気がします。でも、ワキやスネなんかはほぼ抜けないです。細胞分裂が活発じゃないってことなんでしょうかね。人体の不思議です。

便秘

基本的には毎日快便の生活習慣なんですが、投薬後には、2日おきくらいになります。まぁそんなに気にはならないです。

眠気

薬によっては夜眠れないことがある、と医師から言われて、実際眠れないことがあります。そして、午後の退屈な会議で眠くなるw


年中副作用があるというわけではなくて、1回の投薬後に副作用が出るのは数日から長いと10日くらいでしょうか。

病気になって変えたこと

お酒

まずはこれですね。暴飲暴食をやめました。まぁ健康体でもやるべきではないですが。飲みに行く回数をだいぶ減らしました。

余談ですが、病気によっては少量のお酒によって改善する病気もあるようですが、最近の研究では、基本的には多くの病気でお酒は良くないようです。
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO52020370R11C19A1000000/
興味のある方は、専門書などで調べることをオススメします。

食生活

飲酒の次は食べ物。まず、塩分は良くないそうなのでだいぶ控えるようにしました。また、野菜・果物・海藻・キノコ類など中心の食生活にしました。と書きつつ、さすがに野菜だけだと食事の楽しみ半減なので、普通にお肉も食べてます。

タンパク質の摂取という目的においては、植物性タンパク質をできる限り取り入れると良いそうなので、豆腐とか納豆とか以前よりも食べるようになりました。でもやっぱり、お肉がなかったら発狂するだろうなと思います。ヴィーガンの人たちを尊敬します。

労働時間

遅くまで働く生活から、21時には終わるようにしました。(結局帰って仕事してること多いけどw)

睡眠

6時間は寝るようにしてます。

運動

いままでもそれなりにやっていたので、特に変えてはいないですが、意識してやるようにしています。

病気になって思うこと

まわりを巻き込む

自分が病気になって思うことは、まわりの理解を得るための努力が必要だということ。実際、朝起きて頭が痛い、でも、大事な訪問があるから行かなきゃ、、、ってことが何度かあって、どこまで無理すべきかって難しいんですが、最後は自己責任なので、自分でコントロールするしか無いです。自分はどこまでやります、それ以降は、助けてください、というのを明確にしておかないと、みんなに迷惑をかけてしまう。病気だから、は言い訳であって、それを認識した上で、調整する必要があります。

人はみなあたたかい

もう一つ、自分が病気になって思うこと、人はみな、想像以上にあたたかいです。今日はつらいな、って思ったときに、「今日もガンガン行きましょう」とか「目標達成するぞ」とか「やっておきますよ」とか、そういうの言われて元気出ます。日々、たくさんの人に支えられているんだと実感します。

テクノロジー万歳

最近はリモートワークがありがたいです。例えば、急激に眠気に襲われたとして、そういう時はオフィスを出て近くの喫茶店とかで、ゆったりソファでくつろぎつつ会議に参加したり、優雅にコーヒー飲みながら優雅に資料作ったり、なんてことができる時代になってありがたいです。テクノロジー万歳。

医学の進歩

日進月歩で新しい治療法が確立されていて、医学の発展に尽くしてくれている多くの人たちがいることに対して、本当に感謝です。私は相当楽観的な性格なので、きっとそのうち完治するだろうな、って思っているくらいです。逆に、私は自分の分野でしっかり社会貢献したいと日々思っています。

自己主張する

数年間の治療で感じているのは、治療をするかどうか、その場合の治療方法など、かなり患者に委ねられているということです。

例えば、入院が必要な際に、通常は2週間くらい入院が必要なところを、無理にお願いして数日に短縮してもらってたりします。過去に前例ない、と医師に言われつつも、リスクも認識した上で、医師との相談の上で決めてます。とにかく気になることや、やりたいことは何でも言ってみるべきです。

セカンドオピニオン

これはぜひやるべきです。最近はセカンドどころかサードも当たり前だそうです。治療に正解はなくて、最終的に意思決定するのは自分自身なので、納得が行くまで情報は集めたほうが良いです。

治療スケジュール

効果的な治療のためには、予定調整が欠かせないです。半日もしくは終日休まないといけないということもそれなりにあるので、治療の際には早めに予定を決めるようにしています。

2016年秋から約2年フィリピンに住んでいたので、特にその際は通院の日程調整が大変でした。可能な限り出張にあわせてましたが、うまく日程合わせられず、何度自腹で往復したかわからないです。日本からフィリピンに飛んで会議、翌日の飛行機に乗ってまた日本とか、そんなことも数回ありました。


日本人の2人に1人ががんになると言われている時代、がんになっても、治療を続けながら寿命を全うするまで生き続けられる時代になりました。早期発見できて、治療できて、これは医学の進歩のおかげで、本当にありがたい限りです。こうして普通に生きていられることに感謝して、そして、この経験を生かして、自分ができることを精一杯やっていきたいと思います。